可愛くない同居人。

「こんなこと言われても迷惑だよね。ごめん、忘れて忘れて!」



私は慌てて立ち上がり、逃げるようにリビングを出ようとした。



が、力強く後ろからギュッと抱きしめられ、動けなくなった。

石鹸のような心地よい匂いが鼻をかすめ、暖かい体温と、少し早い鼓動が背中から伝わってくる。


「すみません。僕は嘘をつき、あなたを傷つけました」


凜の、冷たいけど甘い声が、耳元で発せられる。





「本当は、あなたのことが、好きです」





好き・・・?

私、を?




「僕にとってあなたは、大切な存在です」




凜の表情が見れず、本音かどうか分からない。

けど、さっきよりもさらに力を込めて抱きしめてくれる凜を、私は疑うことなどできない。



素直に、嬉しい。

ものすごく、嬉しい。




< 121 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop