可愛くない同居人。

ベビーカステラを美味しそうに食べている凛にいつもの大人っぽさは全くなく、幼さだけがみえて、なんだか微笑ましい。


「人の顔を見てニヤニヤしないで下さいよ、気持ち悪い」

「気持ち悪い!?」

黙ってれば可愛いのに。


「そこの二人」

「ん?」

呼び止められ、足を止める。

「カップルにオススメ!お化け屋敷に入らないかい?」

お化けの格好をした生徒が勧誘してきた。

「カップルじゃありませんのでお断りします」

凛はそうスパッと言って立ち去ろうとしたが、腕を掴んで引き止める。

「カップルじゃないけど、お化け屋敷入っていいかな?」

「なっ、おばさん!?」

急に慌てだす凛をよそに、話をすすめる私とお化けくん。

「お二人さんお似合いだし、オッケー!」

「やったー!」

「でも、列にはちゃんと並んでね」

「はーい。了解!よしっ、凛、並ぶよ」

私は凛を無理矢理引っ張り、列に並んだ。
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