天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ
一人歩いていってしまったイリア。

近くのカフェに入り、ほぅっ、と溜息をつく。

「いらっしゃい、観光さんね?よー来ちゃったなぁ」

ムカッチャパピリア人の店員が、イリアに注文を訊きに来る。

ムカッチャパピリアの公用語は、何故か広島弁。

ちっとも海外に来た気がしない。

「何飲む?今日はカフェオレがオススメじゃけぇ、飲みゃええと思うよ?」

「ではそれをお願い致します」

丁寧に注文するイリア。

どちらが接客しているのか分からない。

店員が去っていった後。

(月様に嫌われてしまいました…)

俯き加減に溜息をつくイリア。

決して嫌われた訳ではなく、いきなりメイドとして付き従うイリアに、月は少し困惑しただけなのだが。

周囲が見えていないイリアは、その辺がまだ分からないらしい。

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