君のためにできること
「彼氏ってなつき、お前・・・俺の許可なしに作っていいと思ってんの?」


沈黙を破ったのは、まことだった。彼は、床に座った。


「別に、まことには関係ないでしょ。何であんたの許可が必要なの?」


まことは、「むかつく」と、言った。


「ったく、俺がダンスをアメリカで勉強しているうちにこんなことになってたのか。なつみは死なせたのもこいつなんだろ。話しは聞いてるんだよ」


なぜか、黒い感情が湧き上がってきた。


なつきは下を向いた。


「違うよ、まこと。なつみは・・・しかたなかったんだよ。事故なんてどうやって予測すればいいの?」


「俺なら助けられた」


まことは一点の淀みもない瞳で、言った。


俺は、まことを睨んだ。まことは俺の視線に気づき、笑った。


「なつみが死んだら、今度はなつきかよ。本当に腐ってるなお前」


その言葉に、俺の中で何かが切れる音がした。
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