家族になろうよ!
かくして今日を迎えたわけだが、昨日から親父は嬉し泣きしっぱなしで、防虫剤臭いスーツを着て今もぐずぐず言っている。
「もう、真人くん泣き止んでよー。優子が着替えてきたら、みんなで写真撮るんだからね」
「分かってるけど、うっ……だって……」
「鬱陶しいしキモいぞ、親父」
居間で三人、優子の登場を待つ。
制服はもう随分前に出来上がっていたのに、恥ずかしがって一度も袖を通そうとしなかったから、優子の制服姿を拝むのはみんな今日が初めてだ。
優子が部屋に引っこんで、もうどれくらい経つだろう。
こうも焦らされると、何とも思ってなかったのになぜか緊張してくる。
彩花さんはグレーのフォーマルスーツにつけたコサージュの位置をしきりに気にしていて、やはり落ち着かない。
テレビをつけては消したり、カメラをいじくったり、そろそろ時間が気になりだしたところで、ようやく優子が姿を見せた。
「お待たせしました」
紺の襟にブルーのリボンのシンプルなセーラー服。
長さをいじっていない膝丈のスカート。
そしてハーフアップにした髪には、あのベージュのシュシュがきらめいている。
「優子、可愛い!」
大きくなったね、と優子の頬を両手で包みこむ彩花さんは母親そのもので、はにかむ優子を見たら、最初にコスプレ物の不健全なDVDを思い浮かべた自分を殴ってやりたくなった。
でも、大人びた顔にセーラー服、この危ういアンバランスさ。
妙な輩に手を出されたりしないように、学校では俺が目を光らせていなければ。