鬼
姉弟参上!
男はオレと歳が同じくらいで、まだ幼さが残っている顔に似合わない大きな刀を持っていた。
髪は薄い金髪をしていて、その茶色い瞳でまっすぐとオレを見つめている。
男の背後を見ると、さっきオレに攻撃を仕掛けた時の跡が残っていた。
地面に大きな亀裂が走っている…−。
「それにしても物騒だな…。こんな街中でそんなモノを振り回すなんて。」
「なぁ〜に、アンタを仕留めるにはこれくらいが調度いいのさ。」
男は刀を地面から引き抜いてオレの目の前にかざした。
「あんたは一体何者なんだ?」
「オレはただの賞金稼ぎさ。」
「賞金…?」
何で賞金稼ぎが、オレなんかに用があるって言うんだ…?
「アンタさ〜、昔何をしでかしたか覚えてる?」
「……昔…?」
ニヤつきながら話す男の言葉に、オレは少し考え込んだ。
昔…?こいつは何を言っているんだ。
いくら昔の記憶を辿っても、賞金をつけられるような行為はしていない。
すると、悩むオレを黙って見ていた男が思いきり吹き出した。
「おいおいっ
本当に身に覚えがないっていうのか?記憶喪失にでもなったのか?」
さっきから遠回しに話を進める上、笑いを交えた言い方をする男に、イライラも増す。
「だから何の話なんだ!はっきり言え!」
そう怒鳴ると男は笑うのを止め、真剣な眼差しでオレを見据えた。
「あんたの<正体>を知っている。
オレたちはわずか9歳で賞金を賭けられたあんたをずっと追っていたんだ。」