オレの心臓がドクンッと跳ねた。

……!!
正体……!?

こいつ<鬼>の事を知っているのか…!?


「あれー?顔色が変わったな。やっと思い出したか?」

図星をつかれたオレの表情を見て、男は勝ち誇ったように微笑んだ。

…その笑い方、…腹立つな。


「……お前…何者だ…。」

オレが低く唸るように聞くと男はニヤリと笑う。


「黒い集団……といえば分かるのかな…?」

「!!」


……黒い集団…!!
じいちゃんを殺した奴らだ…!!

『黒い集団』という言葉に、一瞬にして体内を巡る血が沸騰したように熱くなった。

冷静を装っていたものの、オレの黒い集団への憎しみが滲み出たのか、男はオレを宥めるように言った。


「まァ、そう熱くなるなよ。
オレはその黒い集団から雇われただけであって、黒い集団じゃないんだからさ。」

「雇われた…?どういうことだ…!?」

オレは声のトーンを変えずに言った。男は周囲の野次馬のざわつきが気にならないのか、真っすぐとオレの目を見据え、淡々とした口調で話し始めた。


「……お前は昔、機械技師の国と言われたガイリーグを、その手で滅ぼした。…覚えてるよな?」


…覚えてるも何も、今だにその時の夢にうなされる…。
その出来事はオレにはかなり衝撃的で、それと同時に思い出したくない過去でもあった。

その事とこの男はどう関係しているというんだろう…。


「その時、お前に多額の賞金を賭けられた。黒い集団からな…。」

え…?何で黒い集団から、賞金を賭けられなくちゃいけないんだ…!?しかも多額の…。
そこまでして仕留めなくちゃならない存在なのか、オレは?

…確かに、鬼は仕留めるべき存在…、…有ってはならない力を持つ化け物かもしれない…。


でも今のオレは違う!!

鬼を自分の意志で制御できる!!


それに、黒い集団はじいちゃんを殺した!!自分たちがしたことは棚に上げ、オレだけ始末すればいいなんて都合が良すぎる!!


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