鬼
オレは、自分が何故この姿なのか理解出来ないまま街中を歩き回った。
街中といってもその殆どが赤く燃え上がり崩れ落ちていた。
…そうオレが壊したんだ……。
辺りは異様な匂いが充満している上に、ひどく熱い。
人はオレを見つけるや否や、逃げ場所などないのにも関わらず、ひたすら逃げ続けた。
そう、僅かな光を求めて。
きっとオレには僅かな光というものは存在しない。この鬼の姿の、罪深いオレを救ってくれる光などないんだ…。
そう思った。
しかしオレはふと足を止めた。
目の前に広がるこの荒れ狂う火の海で
一人の少女が
歌っていたんだ。
そう、この少女こそオレが生きるきっかけをくれた光だった。