オレは宿の2階にいて、シュウは1階からオレを呼んでいたらしい。


シュウは口をへの字に曲げ、退屈そうに腕を組んで立っていた。


黒く長い髪を一つにまとめ、今日もお気に入りの黄色の小さいサングラスをかけている。

シュウいわく、サングラスはもう体の一部なんだそうだ…。



シュウはオレの2つ上で19歳だ。シュウと出会ったのはオレが10歳の時。

あの事件があった後だ。


オレはあの後どうなったのか自分でも思い出せず、シュウとじいちゃんの家の前に倒れていたそうだ。雨の日の事だ。


思い出せる事と言えば、



あいつに名前をつけられ

あいつが死んだと言う事だけ…。




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