LOVE STORIES
LOVE&STATUS
 真希は立ち去っていく男の後ろ姿を見ていた。

 隣の高校の制服を着た、たった今真希をふったばかりその男が遠ざかっていく。

 ふられた理由は簡単でその男に新しい彼女が出来たからだそうだ。

 だけど、真希は一切落ち込んでいない。

 これも理由は簡単で、真希はその男のことを好きではなかったからだ。

 では、なぜ付き合っていたのかと言うと彼氏がいるというステータスが欲しかったからだ。

 好きでもない男と会うのはおろか、メールや電話ですら面倒だったので、連絡があったのはおよそ三週間ぶりということになる。

 それだけ放置されていれば他の女に走っても無理はない。むしろ、三週間も我慢していたことに感心する。

――大事な話があるから会って欲しい。

 こう言われて、相手が何を言おうとしているのか分からない女はいないだろう。もちろん、真希もそうだ。

 正直、直接会うのが面倒だったので電話で済ませてくれと言おうと思った。

 しかし、こういう恋愛を繰り返す真希もそのあたりの礼儀は大事にしていた。

 自分のステータスを満たすためだけに、人生の貴重な時間を無駄にしてくれた男に対して多少の罪悪感は感じている。

 最後ぐらい、相手の望む形で終わらせてあげよう。例えその男が、何万人と代わりのいる男だったとしても。
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