シェリの旅路
「それはどうかしら?

ハーヴァルドのお父さんは

貧困層の女性と結婚したのよ?

ハーヴァルドだってフランと

結婚する可能性は十分あるわ。

地位なんて気にしない

家系なのよ。さっきから

聞いていれば地位が違うから

不釣り合いとでも?

釣り合うか釣り合わないかは

当人同士が決めることじゃない。

はじめから終わりを考えてたら

あんたみたいに

うまくいくものも

いかなくなるのよ!」


ヴァネッサのこの言葉は

とどめだった。


ジオは自分の足元が

崩れていくのを感じた。


彼は心を閉ざしてしまった。


彼の耳にはもう何も聞こえず

目には何も見えなくなった。


「キミ、こんな男ほっといて

行きましょう」


キミの返事はない。


キミは宙に浮いたまま

硬直していた。


「やだ……ちょっとあんた

どうしたの?」


「ヤドリギ……交換……

好きだった……のに?

今も………好き……なの?

……わからないよ」


キミは人間の時の声で呟いた。
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