他がために悪はある
「殺戮者の分際で、綺麗でいられると思うな!」
痛みで反応が遅れた男の右腕が切れた。剣が地に刺さり、続けて軽い音を立てて、玩具のような腕が落ちる。
とどめを刺そうしたが、男の左腕が最後の足掻きのように女を殴った。
「だったらてめえはなんなんだよ!俺と同じく、他人の血にまみれて生きているじゃねえか!」
怒声と共に続く拳のラッシュ。ちかちかと頭が点滅する気分を味わうが。
「人間らしい綺麗な理由で殺せば、何もかも許されるに決まっている!正義の名が、まだ俺の背中にあるのならば、俺は戦えるんだ!戦わなければならないんだよ!」