メリアと怪盗伯爵
メリアの背後に立っていたのは、ドアから出てきたばかりのアドルフ・デイ・ルイス公爵だったのだ。
「ミス・メリア・・・? なぜこんな場所に貴女が?」
彼もひどく驚いた様子でメリアを見下ろしている。
予想だにしていなかった場所で、とんでも無い相手と鉢合わせしてしまったメリアは、頭の中が真っ白になっていた。そうなると、人間言葉が一切出てこないものである。
「・・・・・・」
真っ青になったまま固まってしまったメリアを、デイ・ルイス侯爵はじっと見つめた。ここは、部外者の立ち入りは一切禁じられている場所の筈だった。
(ど、どどどどど、どうしよう・・・!!)
メリアはできることなら、約数分前の自分に戻りたいと思った程だ。
そうすれば、彼と鉢合わせしないようもう少し遅れて部屋を出発しただろうに、と。
テレサは、と見ると、彼女も顔を真っ青にしたまま固まってしまっている。
どうやら、メリアが侵入したことをもっとも見られてはいけない相手だったようだ。
(しょ、正直にテレサを迎えに来たと話しましょうか・・・? ええ、きっとそれがいいわ・・・!)
そう思い、テレサに目線で合図を送ると、彼女は小さく首を横に振った。
これは、彼女の”やめておけ”のサインだ。
「ミス・メリア??」
訝しげに見つめるデイ・ルイス侯爵。
もはや言い逃れは出来ない・・・。彼は下手な嘘が通じる相手では無いこと位、メリアにもはっきりと分かっていた。
「お話中失礼」
その時、ふと、メリアとテレサの背後から別の男の声が降りてきた。