キミ色
…何で?
なんか調子が狂う…



俺は動揺を隠すように想ってもない事を口にした。



「…別に、いいよ。」


本当はいいわけなんてない、いいはずがないだろ?
勝手に決められて、押しつけられて、いい迷惑だ。


俺は空羽を守れる自信なんてこれっぽっちもないし、空羽を守る気もさらさらない。
そんな奴に、任せるなんておかしいだろ?



ようやく着いた5階建てのマンションのエレベーターに乗り込み4階に着くようにボタンを押す。


素直に従うエレベーター。
俺と空羽を目的の場所まで運んでいく。



エレベーターから降り、自分の部屋まで空羽を連れていく。
重たそうな荷物を持ちながら歩く空羽。
そんな空羽をおいて、俺はすたすたと歩いていく。



「俺の部屋。ここだから、覚えて?」


「…うん。」



空羽は少し緊張してるようだ。
必死でエレベーターから俺の部屋まで、玄関の数を数えている。



俺はそんな空羽をよそに、鍵を差し込みドアを開けた。



部屋に一歩足を踏み入れる。
それだけで、落ち着く家独特の香りが俺を包んだ。
空羽は危なくなりながらも、ドアが閉まりきる前に部屋の中に入った。



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