キミ色
まずはいつものようにリビングに向かう。
そして、冷蔵庫の中から紅茶を取り出し2つのグラスに注いだ。


みるみるうちに茶色に染まっていくグラス。
そのグラスの中に2、3個氷を入れたら完成だ。


きょとんとした表情で立ち尽くしている空羽。



「とりあえず、座りなよ?」


俺はそう言って黒いソファの前にある透明な小机の上に1つのグラスを置いた。


「うん。」


素直に従う空羽はソファにちょこんと座り、周りを見渡している。
俺は、レモンティーを一口含むと椅子に座った。


「なんか…、殺風景だね…。」


見渡しながら、小さく呟く空羽。


ちょっとだけ胸に刺さる言葉。
まぁ、合ってるから何とも言えないけど…。


確かに俺の部屋には何もない。
黒いソファと小机と木棚、時計、テレビ、冷蔵庫、電子レンジなどなど。
基本、日常生活に必要なものしか置かない。


唯一あると言えば、木棚の上に置いてある砂時計ぐらいだろう。


「それに…」


そう言う空羽の言葉に、俺は少し緊張した。
今度は何を言うつもりだ…?


「意外と綺麗なんだね。お部屋。掃除とかするんだ?」


その言葉に俺は胸をなでおろした。
何だ、そんな事か。


「まぁ、一応ね。って言っても俺がする訳じゃねぇけど。」



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