キミ色
空羽に指示されるがままに動き、いつもとは比べものにならないぐらい早くに準備が出来てしまった。



完全に空羽の世界に流されている俺。
自分の部屋が空羽で埋められていってるように感じる…


はぁ─……


大きな溜め息が心の中で響く。
何で俺が、こいつと一緒に住まなきゃいけねぇんだよ…


家族で引っ越してこれば、こんなことにならなかったじゃないか。
何で、全部俺に押し付けるんだよ…


俺の昨日までの生活を返してくれ…



そんな愚痴を心の中で零していると、急にバイブが鳴り出した。
こんな朝早くに電話してくる奴はあいつしかいない。



《もしもし、なんだよ時雨?》


《おっ!珍しく起きてんじゃん!》


起こされたんだよ…


《んで、何?》


《お前!早く学校来い!面白いもん見せてやる!》


《ふざけんな。何時だと思ってんだよ?》


《いいから来い!お前が来なきゃつまんねぇ!》


《行かねぇから。じゃ…》



また電源ボタンを押して会話終了。


ったく、時雨の面白いに振り回されるのはもうこりごりだ…
どうせまたくだらない事を見せられるに違いない。



リビングを見渡すと、もうエプロンを外した空羽の姿が映った。
今は、あの長い巻き髪と格闘中のようだ。
重たそうな栗色の髪を2つに結っている。



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