キミ色
「櫂!!遅いってー!面白かったのにー」


学校に着くと、門の所で時雨が待ってくれていた。
残念そうな顔を向けながら俺の腕を掴む。



「で、今日は何があったの?」


そこまで興味はないが、一応気になる。


「やっぱ気になる?」


時雨はニヤニヤした表情で俺の顔を覗きこむ。


「気になる、気になる。」


もうこの時雨の対処には、慣れた。
さらっと流して、俺は足を進める。


そして、運動場の半分ぐらいまで来た頃だろうか。
時雨が掴んでいた力が強くなり、俺の足は完全に止まった。


「今日、俺等のクラスに新入生が来るらしい!」



小声でそう言う時雨の言葉に、俺は生唾を飲んだ。
…それって、もしかして─…



「ほら!多分あの子。」


指を差して目で合図を送る時雨。



まさか…な?
8クラスもあるんだぞ?
偶然にしては出来すぎてるだろ?


違うと自分に言い聞かせて、時雨が指差した方におそるおそる視線を合わせる。
違う…違う…違うよな─…?



でも、神様は最強に悪戯好きだった。



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