キミ色
だって、こんなチビが俺の運命の人かよ?
信じたくても、信じられねぇ。


俺の運命の人なんてきっとこの世には存在しない。


もしいるならもう出会ってなきゃ、おかしいだろ?


時雨のように―…。


でも、俺は知らなかったんだ…
運命の人とは、もうすでに空で繋がっていたということを―…




俺は時雨に空羽の事を話すために教室に行かずに、屋上に向かった。
少し錆び付いた扉を開けると広がるのは真っ青な空。



俺と時雨は屋上の地面に足をつけ、空に近づいた。
やっぱり、俺の予想は正解だ。
見上げた空には、太陽が顔を出していた。



そして、俺は機嫌よくゆっくりと口を開けていった。


「時雨、さっきの子さぁ……」


「さっきの子?あぁ!新入生の子?」


「うん。あいつさぁ、実は―……」
「俺、あの子好きかも…」


真実を言いかけた所で重なった言葉。
俺の声に言葉を重ねたのは、紛れもなくお前しかいない。


隣で少しだけ顔を赤らめている時雨。


お前…、何言ってんだよ、、?
嘘だろ―…?


「は?…冗談…だろ?」


唖然として聞き返す俺。
平常心が保てない。



「だって可愛くね?」



お前─……
何考えてんだよ…?


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