キミ色
―…俺と…おんなじ…?



それって、どうゆう意味だよ…?


「一緒…って何が…?」



美波さんはさっき開けたビールをおもいっきり口の中に含むと、缶を眺めながら言った。



「時雨もあんたみたいに馬鹿だから…、きっと想ったんだよ―…、花音に逢える、また触れられる…って。」



――……………。



…そっか。
そうだったんだ―…
そんなこと、考えたこともなかった。



時雨も…、俺と一緒だったんだ―……


花音を忘れた訳でも
花音から離れようとした訳でも



なかったんだ―……



だから…あの時、お前はあんな言葉を言ったのか…?



『どことなく、花音と被って見えてんだろ?』



あの言葉を聴いたときに解っておくべきだった…。
馬鹿な俺は自分だけで精一杯だったんだ。



自分の心の中を読み取られるのが、怖かった―…
そして、それ以上に…



空羽をとられるのが怖かったんだ…
花音の時と同じように―……



時雨にだけは、絶対勝てないから―……




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