キミ色
明らかに掴まれている腕。



「空羽っ!空羽!!」



空羽を必死で揺らしながら、声をかける。
揺れる俺の髪の毛から雨水が飛び散る。



空羽の顔にかかる水滴。



俺はとりあえず空羽をリビングに運び、ソファに寝かせタオルケットをかけた。



「おい、空羽っ…大丈夫か…?」



空羽の手を握り声をかけると、空羽はゆっくりと俺の手を握り返してくれた。



動いた…
手、動いてる…



でも、そのまま空羽の手からは力が抜けてしまった。



「おい…!空羽…?」



慌てて脈に触れたが、止まるどころかさっきよりも元気よく鼓動を打っていた。



はぁ…



「良かった…」




本当に…本当に良かった……




俺の身体の震えはおさまっていき、一気に力の抜けた俺はソファの前にペタンと座り込んでしまった。



< 257 / 323 >

この作品をシェア

pagetop