キミ色
時計の針が何週周っただろう?
空羽をソファに寝かせてから、俺はブレーカーを上げさっとジャージに着替えてタオルで髪の毛を拭いた。



びちゃびちゃに濡れている髪の毛。
ぶるっと寒さで震える身体。



寒っ…



俺は冷めきった体を抱えながら、温かいレモンティーを注いだ。
そのコップを両手で包む。



…温かい



手だけだけど、それでも今の俺にとっては充分な温もりだった。
そして、いつもの椅子に座ると俺はテーブルの上にあったケーキを見つめた。



そうゆうことか…



ソファの方に目を向ける。
そこには、まだ気を失ったままの空羽がいた。



電気を点けてから気づいたことが2つ。



1つは、空羽は落ちてしまったブレーカーを上げようとして気を失ってしまったこと。




…そして、2つ目は空羽はずっと俺を待っていたということ…。




電気を点けリビングに戻った時一番最初に目に入って来たのは、大きなホール型のショートケーキだった。




そこには17本の赤い蝋燭。
そして、空羽が書いたのかチョコペンでぐちゃぐちゃの《祝》という漢字がケーキの上に書かれてあった。



< 258 / 323 >

この作品をシェア

pagetop