キミ色
まだ状況が読み込めないのか、空羽はきょとんとソファに座っている。
そんな空羽に温かいレモンティーを作ってやった。



「…ありがと。」



小さな両手でコップを掴む空羽は、まるで子供のよう。
本当に美味しそうな顔でレモンティーを口に運ぶ。



「んで、空羽…本当に覚えてないの?」



「…うん。」



俺の携帯に電話してきたことも、自分が何故気を失ったのかも空羽は何も思い出せないらしい…



「部屋のブレーカーが落ちて、真っ暗になったのは?」



「…それは覚えてるよ。凄い音が鳴ってびっくりしたの…」



「その後は…?」



そう聴いた俺に空羽は少し考えてから首を横に振った。



気を失ったらそうゆうものなのかな…
そんな経験がない俺には、よく解らない。



「あ、ケーキッ!!」



空羽は急にそう言うと立ち上がり歩き出した。
そんな空羽の腕を俺の手がかろうじて掴んだ。



「お前な、ちょっとは安静にしてろよ…!」



頼むから、じっとしててくれよ。
さっきまでずっと気失ってたくせに…




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