Honey Bitter

「……」




遥か遠く、ここからでも十分に近所迷惑になりそうな音で大量のバイクが走っている。




雲が少しだけかかった事で、更に闇が深くなっていく。




空には当然のように星は1つもない。




嫌にでも見える大きな空から視線を外したところで冷たい感覚がした。




その感覚のするところへ手を持っていけば頬には涙が流れていた。




「……やっと、だ」




ほぼ無意識に呟いた言葉は、暗い闇空に呆気なく消えた。




もう蝉の鳴き声は聞こえなくなり、私1人だけになった、驚くほど静かな夜道を歩いて行く。




発熱している時のように頭がジンジンと痛んで、身体は鉛のように重たい。




手首からは血が流れて手の平や甲を伝ってまるで足跡の様に地面に血の跡を残している。



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