Honey Bitter

「ちょっと、ごめんね」




一瞬、視界の端に何かが通り過ぎたかと思えば頬に冷たい感覚がした




頬に溜まった熱が、心地いい冷たさの手に吸収されていく




「……」




気持ちのいい感覚に手を引かれて、静かに瞼を閉じる




彼が近付いて来た時、鼻をくすぐった香りはとても良い物で更に私の警戒心を熔けさせた




「まだ熱いね、」




どうしようかな、




と悩むような声色が上から降ってきた




その声に熱に浮かされている場合じゃない、と今更ながら気付く




瞼を開いて、頬に置かれた、見た目よりも大きな彼の手を掴む




「ここは、どこなの…?」




切れ目の瞳が突然の事に驚いたように大きく見開かれた


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