好きな人の忘れ方






参ったと言わんばかりに頭を抱える啓太郎



「あー・・・・・だから・・その、さ・・・」

「別にいい」

「え・・」

「別に言い訳とかしろって言ってないし、謝って欲しいとも思ってない」

「・・・・」

「仕事行けば?」

「・・・・」






あんたと同じで私だってヒマじゃない


彼氏が浮気の一つしてもおかしくない状況を招いた原因だって思い当たる節はある




今年で、23

仕事を始めて3年目にもなれば、多少のポストに就く


毎日、毎晩、彼氏といちゃこいてられない日が続く事だってある



しかも、私の仕事は不規則で休日もバラバラ


啓太郎は土日が一応休みだから、すれ違う日も多々あった


それを補うように、お互いの家に泊まって仕事に行く日だって




それでも、付き合い始めて4年も経てば、そんなすれ違いくらい我慢出来ない訳じゃなかったけど、それは私だけだったのかもしれないし


普通に考えれば、4年も付き合えば飽きたりしてきてたのかもしれない



ただね、微塵の疑いもなくて

心底信頼してた相手にあっさりと裏切られたりすると、それは結構な痛さ






「あのさ・・・・」

「聞こえなかった?時間過ぎてるよ」

「・・・・・」

「大体、こんな朝から来たの初めてじゃん」



ソファの前に立ち尽くす啓太郎の横を通り過ぎて、ジャケットを手に取った



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