失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



「日本へ帰った私は支援者のプロフ

ィールの中から仕事のパートナーを

探した…候補を絞りその中の1人が

君の兄さんの父親だった…ゲイだと

いうのもあったが…彼のプロフィー

ルから失うもののない自棄な生活と

社会への怒り…そして空虚な人生を

感じた…学歴は申し分ない…」


とうとうあの男が現れた

彼の人生に…

話を聞いてしまったらまた

理不尽な嫉妬に傷つくのかという

トラウマのような苦しさに

独りでに身体が身構えていた



「…彼とは色々あったが結局組むこ

とになった…そしてなし崩しに肉体

関係を持ち…互いに頽廃的な快楽を

貪って過ごした…彼が吐血するまで

はね…」

彼は懐かしそうに目を伏せた

それを見てやはり胸の奥に理不尽で

焼けるような気持ちが膨らんだ



「彼が死んだあと私は誰とも組む気

がなくなった…しかし次第に状況が

私に不利になり始め…君も知ってい

る通り私はある者から命を狙われる

ようになった…そしてあの事件で私

が死んだことになり…そしてそれと

引き替えにあの資料は警察へと渡っ

た…だがそれを隠蔽したい人間が警

察内にいた…それも複数だ…監察に

知られたら懲戒ではすまない犯罪を

やらかしている汚職警察官がな」





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