失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「そうだ…間違いない…君はそう思
える…だがな…それをした者はそう
は思わない…」
そう言うと彼は僕の耳に
フッと吐息をかけた
「あっ…」
ズキッと下腹部を直撃する感覚に
思わず声が漏れた
「ほら…どうだ?…君はとても感じ
ているが…君は誰にそうされてもこ
んなに感じるんだろう?…それは私
がそうしたからだ…とても敏感に感
じるように君の身体を変えた…」
彼は服の中に手を入れ
僕の背中を下からなぞりあげた
「んあっ…!」
こんな時に…
なんで
「君の身体を征服した私はひとつの
矛盾に気づく…快楽を与えれば与え
るほど君は私にのめり込むが…私の
中にはある不安が膨らんでいく…そ
れはなにをしてもどんなに君を愛し
てもぬぐえない不安と痛みだ…君を
抱けば抱くほどそれは膨れ上がり君
が感じれば感じるほど絶望的に手の
ひらからこぼれていく…調教した者
はそれが成し遂げられたあとある時
気づく…本当は君が私を愛してはい
ないんじゃないか…という影のよう
につきまとう考えにな…」
彼は苦しそうに微笑んだ
話しながら彼は
僕の身体を愛撫し続けた
僕が身をよじり感じれば感じるほど
彼は執拗に弱いところを責めた
僕になにかを確かめさせるように