失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



だめ…だ

悲し過ぎて息が止まりそうだ

兄のぬくもりを失い

そして…あなたまで…

朝から起き抜けに泣いてるなんて

どれだけ僕は悲しいんだろう

「う…」

嗚咽をこらえてると身体が震えた



「どうした…?」

「あ…」

彼はいつしか起きていた

「また泣いているのか」

「ごめ…ん…朝から…こんな…で」

「君は笑っているときより泣いてい

る時間の方が長いかもな」

からかわれてる気すらしない事実

「別れたく…ないんだ…」

「わかりきったことを言うな」



彼は躊躇のかけらもなくそう言って

僕を後ろから抱き締めた

「厳しい1ヶ月になるぞ…覚悟して

おくんだな…まあ…人のことは言え

んが」

「きっと…もっと…好きになる…」

耐えられない

そんなのには

「そうとも限らないが…」

彼は意味深なことを言ったが

単に僕を慰めているだけなのかも

よくわからなかった



「朝飯を食おう…昨日はほとんど食

べていないだろう?」

そう言えばそうだった

食欲なんかないけど





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