失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「つうぅっ…!」
痛みに頭をかかえているうちに
いつの間にか
彼に抱き起こされていた
「痛い…」
「ベッドに行くぞ…額が切れてる」
手がヌルッとした
見ると額を押さえてた右手の指が
血で真っ赤に染まっていた
「運がいいな…正気に戻ったか?」
彼がティッシュを頭に当ててくれる
「うう…なに…?」
「自分で押さえろ」
僕が額をティッシュごと押さえると
彼が僕を抱き上げた
「まだ抱かれたいか?」
「頭…いた…い」
「テーブルの角にあの勢いでぶつけ
たら痛いのは当たり前だ」
彼が呆れたように言う
「なんで…僕落ちたの?」
「エロすぎたからじゃないか?」
僕はそっとベッドに下ろされた
「じっとしておけ…わかったか」
「ん…」
救急箱でも探しに…だろうか
リビングに戻っていった
おかしくなった頭が
痛くて元に戻ったみたいだ
さっきまでの変な感じは
すっかり消え失せていた