失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】




「違うよ!…違う…それは誓って」

僕は言下にそれを否定した

兄の深層が夢で暴かれてる

こんなところまで



秘密

僕達がいちばん苦しんだこと

その苦しみがまだあるんだと

僕はそれが悲しくて痛かった

僕にとってはもう

秘密じゃないそれが




「犯人は恋人とか知り合いじゃない

…たまたま手にした資料が兄貴のも

のだって誤解を受けたらしい…さっ

きの公安のエライさんがそう言って

たから間違いない…何も関係ないの

に標的にされて…こんなことに…」

「そうか…よかった…」

それを聞いて兄は安堵したように

大きく息をついた

「夢の中で…私達は愛し合ってた…

でも誰かなんてわからない…繰り返

しその男は言うんだ…誰にも言っち

ゃだめだ…話してはいけないよ…っ

て…言ったら…死ななきゃ…って…

だから私はその男に殺されかけたん

だって…思っていた」

「ううん…違う…」

「私の恋人は…誰だったのかな?」

「…いなかった」

「え…?」

僕は嘘をついた

あらかじめ考えてた嘘を

「いなかったんだよ…いなくなった

ときは…兄貴はフリーだった」





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