ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「海なんてこの辺にないってば……」


完全に学生のノリ。

そういえば八木原くんは最近まで学生だったんだよね。


若いっていいなあ。

またぼんやりとそんなことを思ってしまった。


八木原くんとは三つしか違わないけれど、女の私にとって23歳と26歳じゃ大きく違う。

周りの子は結婚していくし、親だってそういう目で見てくる。


……私も絶対乗り遅れたくないと思ってた。


「じゃあ、俺ん家来る?」

「……遠慮しとこうかな」

「分かった。ならメイちゃん家」

「無理」

「うわーソッコーフラれた」


そう言ってケタケタ笑いながら八木原くんは私の手を取った。

なんだろう、とその手をじっと見つめていると指を絡ませて繋がれた。


そのままブンブンと腕を振りながら歩き出す。
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