ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「待って待ってリアちゃん」

「なんかもう30近いのにお母さんにお弁当作ってもらってたりとかー」

「もしもしリアちゃん?」

「アイドルの歌振り付けで歌ってノリアピールとかー」

「リアちゃん聞こえてる?」

「学生のとき勉強しかしてこなかったオーラバリバリでー」

「リアちゃんってば!」


私がしびれを切らして声を大きくすると一斉に周りのデスクの人からの注目を集めた。

それで私は今が仕事中だって現実を思い出してパソコンの影に隠れるように身を縮こまらせた。


隠れてるから見えないけれど池上さんからの氷のような冷たい視線を感じる。

ああ、どうして私っていつもこうなんだろう。


「メイさんが大きな声出すなんてビックリしたー」


懲りないリアちゃんは小声でボソボソと話し続ける。

いつもだったらこれ以上怒られたくないから会話には乗らないところだけど、どうしても気になる内容だったから私も声のボリュームを落として会話を続けた。
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