ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「それ、何時に終わんの?」

「それ……?」


水嶋の視線は私が持っている在庫チェック表に注がれている。

仕事が何時に終わるかってことらしい。


つられて表を見るとまだ5分の1程度しか終わってない。

だって作業始めたばっかりなんだもん。


「あと二時間くらい……?」

「は!? 二時間も!? なんでそんなの一人でやってんの!?」

「いや、頑張れば一時間半くらいで終わるかも……」


時間を聞いた水嶋の眉間にクッとシワが寄ったから、私は上司に怒られている気分で慌てて訂正した。

なんで私を無視した水嶋にこんな気を遣わなきゃならないんだ、と理不尽な思いを抱えながら。


はあ、と深いため息をつかれる。

なんでため息をつかれるのか分からないまま、叱られている子犬のようにじっと上目使いで様子をうかがった。


「また誰かに押し付けられたんだろ」

「……」
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