ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
◇◇◇


地元での飲み会に参加することに決めて、久しぶりに実家に帰った。

飲み会は仲の良いグループが集まるちょっとしたクラス会規模って聞いて、逃げ出したくなったけれど今さら躊躇してる場合じゃない。


半年以上振りの地元の駅は相変わらず閑散としていて、寒さがより一層身に染みる。

駅の自販機で温かいミルクティを買って両手で持って歩く。


実家に帰らずに飲み会だけ参加するって選択肢もあったけれど、私はここを乗り越えないと前に進めない。

それぐらい私にとって父親の存在というのは大きな壁だった。


――中学生の頃からクラス委員をやるようになった。


皆をまとめる力なんて私にはなかったのに、真面目で成績が良かったから。

父親はそれを当然のように思ってた。


本当の私は、リーダーなんて柄じゃないから嫌だって思ったけれど、言えなかった。

父がとても厳格な人だったから。


私がエリートと呼ばれる部類の人と結婚したいと強く思っていたのは、元々は父親に認められたいという潜在意識に根付いたものだったと今になって思う。

光浦さんにプロポーズされたとき、嬉しかったけれどそれはどちらかというとホッとしたような嬉しさだった。


これで父さんが恥ずかしくない娘でいられる、と。

だから婚約がダメになったときの父さんの蔑んだ目と態度を思い出すと、私の足は枷が付けられたように前に進みにくくなった。
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