ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
マンションのリビングはシンプルで片付いていて、大人の男の人の部屋って感じだった。

昔の水嶋とのギャップに、ここでも戸惑ってしまう。

それと同時に高校生からずいぶん時間が経ったんだなと妙に実感してしまった。


「コーヒーくらい飲むだろ?」


水嶋はカウンターキッチンで立ったままコーヒーを飲んでいた。

もうひとつ白いカップを私に差し出す。


「……ありがとう」


私の為に入れてくれたのに断るなんて悪い、という思いからついカップを受け取ってしまった。

本音は一刻も早く立ち去りたいのに。


昨日どうしてあんなことになったのかは正直すっごく気になるけれど。

それよりも今、何してる? なんて近況報告みたいになるのが嫌だった。
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