ラッキービーンズ～ドン底から始まる恋～

私はキャリアウーマン目指してるわけじゃないし、かといって派遣だから～なんて言えるほど気楽な立場でもない。

恋を失った今、何かに一生懸命にならないと。そんな焦燥感に捉われていた。


だから「ただの派遣だし」なんて言えちゃうリアちゃんがうらやましくもある。


「総務の男の人もな～んか地味って感じじゃないですか？」

「あは、そうかも」


リアちゃんの言うことはいちいちもっとも。

私は仕事場で恋の相手を探す気なんてないし、地味な方がやりやすいけど。


リアちゃんやホナミみたいに新しい職場に素敵な男性の存在を期待しちゃう気持ちも分かる。


「でも～。他の部署と繋がりやすいのが総務のいいトコロですよねっ」

「確かに。書類や名刺渡しに行ったりするもんね？」

「そうそう。どこの部署がレベル高いかチェックしましょうよ～」


話を合わせただけなのに、リアちゃんは嬉しそうにフォークを握り締めてとびっきりの笑顔を見せた。