ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
リアちゃんが言う、チェックのチャンスは確かにたくさんあった。

まだ事務仕事もたいして役に立てない私達は、お使いに出されることが多かった。


悪い言い方をすれば下っ端のパシリだ。


広告代理店という仕事柄か、企画や営業の人たちはスーツの着こなしもどこかオシャレでいい男と呼べるひとはそこかしこにいた。


だけど今の私からすると自分とは関係のない、別世界の人たちにしか見えなかった。


次の日からスーツはやめて、オフィスカジュアルな服装に変えた。


「メイちゃん、髪下ろすと童顔! リアと同じくらいにしか見えない!」

「や、それは無理があるかなー、と……」

「無理ないですよう。で、今日とか合コンどうですか?」

「ええっ? 今日!?」

「さっき企画部の人に誘われちゃったんですよ~。今日飲みませんかって?」


うふふ、と人差し指を唇に当てて得意げに笑うリアちゃんに、私は心の底からすごい、と感嘆してしまった。
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