ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「お姉ちゃん一人!? こんな時間に一人でフラフラしてちゃ危ないよー」

「……」


無視。無視。

関わっちゃいけない。


「家ドコ!? おじさんがタクシーで送ってってあげようか~」

「……」


ああ、私ってほんとどこまでツイてないんだろう。

なんだか自分の悪運が悲しくなってくる。


「堀田さん、若い娘に絡んじゃだめだよ~」

「いや、親切で言ってんだよ? 私はね~別にやましい気持ちなんてこれっぽっちもないですよ。ねえ、キミ!?」


言いながらおじさんが私の腕を掴んだ。

ブラウス越しに節ばった熱い手の感触がして背筋がゾッとした。
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