ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
◇◇◇

「分かんない。意味がぜんっぜん分からない……!」

「何が分からないの?」


あれから眠れない夜を過ごし、寝不足気味のまま出社するとコピー用紙の補充を言いつけられた。

事務用品の倉庫に入ってブツブツと文句を言いながらコピー用紙を何セットも抱え込んでいると、急に後ろから話しかけられた。


「ひっ。リ、リアちゃんか~。ビックリした。なんでこんなとこにいるの?」


私が入ってきてからドアが開いた気配はなかった。

つまりリアちゃんは私が入ってくる前から倉庫にいたことになる。


「サボリですよ~。眠たくってぇ」


あくびをしながら小首を傾げるリアちゃんに悪びれた様子は全くない。


「昨日、楽しかった?」


苦笑しながら聞くとリアちゃんは口をへの字に曲げて不満そうに話し出した。


「聞いてくださいよ~。知らない間に水嶋さんいなくなっちゃっててサイアクでしたよ~」


リアちゃんの口から水嶋の名前が出て、ドキリとした。
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