ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「じゃ、私はこれで……」
この機を逃すとまたろくでもない目に遭うに違いないから、私は座っていたイスから立ち上がった。
「あ、うん。じゃあまた連絡……」
「いいじゃん。日向サンもいなよ」
お別れの言葉を口にしかけた八木原くんに被せるように涼やかな声が響いた。
私には地獄の使者の声にしか聞こえないけど。
おそるおそる振り返ると、「俺と一緒にコーヒーが飲めないって?」とでも言いたげな笑顔で水嶋が立っていた。
「え、水嶋さんが女の子に声かけるとか珍しくないっすか? もしかして日向ちゃん狙いっすか?」
余計なこと言わなくていい……!
ギッと八木原くんを睨みつけるも、やっぱり彼に私の声は届かない。
「ダメですよー。ヒナちゃんは俺が先に仲良くなったんですから」
「あのね。ヤギ。日向サンはお前より年上なんだからちゃんとさん付けで呼べよ。一応、社内なんだから」
水嶋が呆れたようにたしなめると、八木原くんは目を丸くした。
この機を逃すとまたろくでもない目に遭うに違いないから、私は座っていたイスから立ち上がった。
「あ、うん。じゃあまた連絡……」
「いいじゃん。日向サンもいなよ」
お別れの言葉を口にしかけた八木原くんに被せるように涼やかな声が響いた。
私には地獄の使者の声にしか聞こえないけど。
おそるおそる振り返ると、「俺と一緒にコーヒーが飲めないって?」とでも言いたげな笑顔で水嶋が立っていた。
「え、水嶋さんが女の子に声かけるとか珍しくないっすか? もしかして日向ちゃん狙いっすか?」
余計なこと言わなくていい……!
ギッと八木原くんを睨みつけるも、やっぱり彼に私の声は届かない。
「ダメですよー。ヒナちゃんは俺が先に仲良くなったんですから」
「あのね。ヤギ。日向サンはお前より年上なんだからちゃんとさん付けで呼べよ。一応、社内なんだから」
水嶋が呆れたようにたしなめると、八木原くんは目を丸くした。