ラッキービーンズ～ドン底から始まる恋～

残業は辛いけど残業手当はちゃんと貰えるし、むしろ帰っても予定のない私にとってはありがたい話だった。

けれどいつの間にか残業を嫌がらない女として認識されてしまい、私に任される仕事量はどんどんと増えていった。


「メイさん頑張りますねぇ～。あ、また今日、合コンあるんですけどどうですか？」

「……無理。ぜったい無理。終わりそうにない」

「……ですよねぇ～」


特に皆が早く帰りたいと浮き足立つ金曜日。

この日がもっとも仕事を押し付けられる率が高い。


……べつにいいけど。


でもたまには私だって飲みに行きたい。

ホナミに愚痴ってストレス発散したい。


「あ、来週は水嶋さんの家で鍋パーティーするんで空けといてくださいね」


ギクリ。

忙しさにかまけて忘れてたフリをしていた話はちゃんと水面下で進行中だったらしい。


「たぶん無理だと思う……」