ラッキービーンズ～ドン底から始まる恋～

だけどこの忙しさだったら断ったって不自然じゃない。

どこかホッとした気持ちで口にすると、リアちゃんは「えーっ」と口を尖らせた。


「来られなくても一応参加するってことにしといてくださいね。そしたら水嶋さんと二人になれるチャンスがあるかもしれないし」


そう言いながらリアちゃんは今日はお医者さんと合コンなんだって。

いつもよりも２割り増しお嬢様っぽいファッションで足取り軽くオフィスから出て行った。


リアちゃんは私が来ない方が都合がいいらしい。


だけど八木原くんはどうするんだろう。

追い払われちゃうと思うと、ちょっと可哀相な気もするけど。


あの日以来、水嶋とはまともに口をきいていない。

社内だから何度かすれ違ったことはあるけれど、向こうも忙しそうでからかわれることもなかった。


……ってからかわれるの待ってるみたいじゃん。


冗談じゃない、とぶんぶん頭を振って、作業を再開した。