空を翔ける一筋の流れ星
「あああああ」


両耳に掌を当てては離してと繰り返し、何も聞こえない振りをする。


「よし、俺は何も見えないし、何も聞こえない。

ということで、俺は何もできないからな」


そう言って、その場から逃げるように走って立ち去った。

これだけやれば、さすがに俺に憑くことはないだろう・・・



緑地を抜けると大通りが広がり、車道には大型トラックを中心に車が頻繁に行き交い、歩道には何人か歩いていた。

遠回りになっても、最初からこの道を歩いて帰ればよかったとちょっと後悔した。



それにしても、あの幽霊はどこか今までに見たことがない雰囲気を持っていた。

幽霊に雰囲気という言葉を使っていいのかどうか分からないが、本当に今まで見たことがない感じだった。

それに、生きている人と幽霊の区別なんてとっくにつくようになっていたつもりだったのに、あの幽霊だけは区別がつかなかった。

でも、大学に入ってからは霊感が落ち着いてきたから、俺の霊感も徐々に無くなってきているのだろう。


「とっととこんなもの無くなってくれればいいのに」


見上げると、大通りで明かりがあるということもあり、先ほどよりは星空は綺麗に見えなくなっていた。


都会の空


地元じゃ、この星空よりも断然綺麗だった。

けど、俺は都会に行く道を選んだ・・・



今更、星空だけで地元に帰りたいとは思わないが、星があまり見えないこの星空を見るたびに思い出してしまう。

俺はこっちの大学を選び、地元には戻らないと決めたのだから、そろそろこの星空にも慣れないといけないな。
< 4 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop