空を翔ける一筋の流れ星
締め付けられている体、その一部の重い足を何とか振り上げて、真下に振り下ろし大きい足音を立てた。

その音と同時に空は驚き、体を後ろにのけ反らせた。


「さっきから後ろに幽霊がいるだろうが」


空気が変わった。

いや、やっぱり空気は変わっておらず、恐らくは俺が変わった空気を持ってしまったのだろう。


「な、何ですか。

自分が見えるからって偉そうにして。

私は霊感なんて微塵の欠片もないんですから、見えなくて仕方ないでしょ」


「いや、幽霊なのに幽霊が見えないのかよ」


「それって、偏見じゃないですか。

幽霊が必ずしも幽霊が見えるなんて、どこの誰がそんなこと決めたんですか。

現に私には今は何も見えてません」


完全にいつも通りといったところか。

何か、さっきまで必死になっていた自分が馬鹿らしくなってきて、構わずに後ろを振り返った。
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