夢の続きで逢えたら
でも、社会とはそういうものだ。
本当に好きなことを仕事にしてる人なんてほんの一握りなんだから。
電車が目的の駅に近づいた時、
座っていた女子高生の会話が耳に入った。
「今日すごい夢見ちゃった」
「へぇ、どんな?」
「翔くんに告白された夢」
「うそ!?やったじゃん!きっと正夢だよ!」
「だといいけど…」
……正夢か。
そう言えば今日、僕も不思議な夢を見た。
すごく長い夢。
昔よく遊んだ、幼馴染みだった子の夢。
小学校も一緒で、周りの友達はみんな、
その子のことをよく“佐伯さん”とか“さえちゃん”とか呼んでいて…
“詩野”って下の名前で呼んでいたのは僕だけだった。
詩野はいつも、
「下の名前で呼ばないでって言ってるでしょ!」
って僕に目を吊り上げながら怒ってた。
でも、僕は“詩野”っていう名前がすごく好きだったんだ。
彼女らしいと言うか、なんと言うか…
なんだか大きな未来を背負ってる。
そんな感じがしてた。
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