虹の音




「もう、彼女なんていないよ」



……ドサッ。


その言葉が耳に入った瞬間、空木の肩からカバンが落ちた。


そして、いきなり視界が消えて、何か温かいものにふわっと覆われるのが分かった。


…空木はあたしを抱きしめていた。


「凛、俺もだ。俺もお前が好きだ」


………う、そ。


空木があたしを好きだと言った。

彼女なんていないよと言った。


その時、あたしの中で何かがカチリと繋がる。

伊純の変な行動。

龍真が言った言葉の意味。

高山さんの悲しい笑顔。

そして…空木が今日おかしかった理由。


空木のこの気持ちが本当なら、

それをみんなが知っていたとするなら、


すべての辻褄が合うのだった。



………もう一粒どころじゃない。

ポロポロと、とめどなく涙が溢れた。






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