俺がお前を守るからだからお前は…

 萌を一度売ったおれだ。

 逆らわないと南に、俺自身に誓った。

 それでも俺は萌を死なせたくない。

 「…愛しているんだ。誰よりも何よりも。僕の全てが萌を望んでいる。だから萌も同じでなければならない。そうだろう?そうなんだ。それなのに、それなのに。萌は僕を愛さない。僕を愛していると嘘を吐く。いつからそんな悪い子になった?どうして?誰のせい?この世界が汚いから萌も汚されたんだ。世界が悪い。汚い世界では萌は生きていけない。綺麗な萌は世界に殺されてしまう。だからその前に。愛する萌は僕の手で殺そう。殺さなくてはならない」

 南の言葉は呪文のように。俺の中に自然と入ってくる。

 南の思考がまるで俺のもののように。自然に。

 「私綺麗なんかじゃないよ!だから」

 
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