恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~
「いい加減にしなさい、ゆめ」
呆れきった梨香は、コーヒーをすすって再びため息をついた。
モデルハウスのように物が少なく、
小奇麗に片付いた部屋に響く。
私は赤くなった手で携帯を開いた。
「だって、これ見てよ」
先月読み終えた、大好きなケータイ小説。
タイトルは、
「ドS彼氏と甘いひととき」
意地悪なことばかり言う男の子と、
それに翻弄されながらもラブラブになっていく話だ。
「またケータイ小説じゃない」
梨香はすぐに携帯をパタンと閉じてテーブルに戻した。