【企画】バトル、それは甘美なかほり【キャラバト】
クラウンとて察した。
床にいたのは虫。
茶色だか黒だか分からず、やけに長い触覚をひくひくさせて、やたら光沢ある甲殻が存在感をアピールさせていた。
別段、不思議ではない。長らく放置されていた屋敷だ。この不快感たっぷりの虫がいようとも驚くことではないし、逆に驚いたのは虫に違いない。
家具の影に潜んでいたのに、ポルターガイストで吹っ飛び、びっくりした拍子に出てきたか。
――まあ、とりあえず。
「ひっ!」
クラウンは“ソレ”を掴まえた。
いくら白い手袋をはめているとは言え、ソレを鷲掴みにする度胸には度肝を抜かれる前に、ドン引きする。
異世界人を見るかのような幽霊に、クラウンは生きたまま掴まえたソレを突きつけた。