執事と共に賭け事を。
「少し質問を変えようか」


ヒガキは、運ばれてきたグラスを受け取りながら言った。


「船の総勢人数は11人、そして、助かるのは10人だけ。そこには君と、彼と、僕も乗っているとしよう。君はどうする」


真っ直ぐに、恵理夜の心を射抜くような目。


「全く関係のない誰かが犠牲になるのを待つか。それとも、春樹クンが君を助けるために身を投げるかもしれない。あるいは、僕を突き落とす、という手もある」

「誰か一人が犠牲になれば、皆が生き残れる」


震える声で恵理夜が言う。


そう――ヒガキが、ゆったりと頷いて言った。


「ご両親が亡くなって、君が生き残ったように」
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